フランスで自然療法を学ぶには 5
-学校生活-

平日コースは平均年齢が低いようなのですが、私の行っていた週末コースは私と同じくらいの年齢の人が多かったです。40歳前後でしょうか? 9割は女性です。

私が入学した時の人数は約50人。週末コースは特に盛況のようで、キャンセル待ちから繰り上がった人も数人いました。泊りがけで遠方から来ている人も少なくなかったです。そういう人は身内や知り合いの家に泊まらせてもらうか、ホテルの部屋をシェアしているようでした。

ほとんどの人が平日は働いていて、私のようにほとんど働いていなかったのはクラスに2~3人だったと思います。子供を持つ人も多く、4年間あったので、途中で結婚・妊娠している人も数人いました。

それと、これは先生の一人が言っていたのですが、CENATHOで学んだことで人生への価値観が変わり、離婚する人がいるそうです。フランスの離婚率は高いので実際のところはわかりませんが、離婚した人、確かに数人いました! 自然療法に勉強をしていくと、まず食生活が劇的に変わるので、その辺も離婚原因になるかもしれませんね。

私のクラスはベタベタした関係ではありませんでしたが、程よい距離間で助け合っていました。私はクラスで唯一の外国人だったので、先生もそうでしたが、助けてくれるクラスメイトが多くてありがたかったです。

それと、入学前に校長先生に「学校に日本人はいませんか?」と聞いたところ、一人だけ日本人がいるよということで、連絡先を教えてもらったのですが、この先輩、Mさんには本当に助けてもらいましたし、自然療法士になった今でもたくさんのアドバイスをもらっています。

なお、私のすぐ後に別の日本人がCENATHOを卒業し、現在在校中の日本人もいます。私の知る限り、ほかのFENAの学校に日本人はいないようだったので、CENATHOは日本人が多いと思います。

私のようにフランス語があまり得意ではない人には、日本語のわかる先輩がいるというのは心強いのではないでしょうか?

フランスで自然療法を学ぶには 6
-卒業証書を手にするまで-

学校では定期的に小テストを実施していました。でもこれは自己採点なので、あくまで自分がどれだけ理解しているかの目安に使います。

正式にカウントされるのは年度初めの筆記テスト(4時間くらい)と夏の講習会中に行われる口頭試験の成績です。これが20点中12点以上でない場合は再試験となり、これにも受からない場合は校長先生との面談になるようです。私の知る限り、成績が悪いというだけで強制退学になった人はいないですが、「自然療法士に向いていないのでは?」という話を校長先生からされたために退学した人はいました。

一番大切なのは卒業試験です。これは実技のみで、当日初めて会うクライアントと約1時間のカウンセリングをし、その後すぐ、校長先生を含めた審査員のいる部屋に移って口頭試問となります。

私のときは審査員が4人おり、クライアントについての紹介をざっとし、どのような食事内容にするといいか、運動、メンタルケア、アロマ、サプリ、マッサージなど、クライアントに必要と思われるプログラムの提案をします。審査員はその内容で気になるところ、私が話し忘れた点などについてどんどん質問をしてくるので、頭が真っ白になる瞬間もありました。

その後、事前に約85問に渡る質問が渡されているので、準備をしておかないといけないのですが、ここからくじで2問を引いて、その回答をします。ここでも審査員からさまざまな質問が飛んできました。

これらがすべて終わり、正式な合格通知は点数とともに数週間後にわかるのですが、試験現場でおそらく合格だなということはすぐわかるので、その場合は校長先生からのハグとビズがあります。これがない、試験の途中で退場となると、大抵の場合は不合格となり、再試験となります。ただ、落とすための試験ではないので、もし不合格となっても再度準備をし直して受け続けていれば、いつかは受かると思います。

さらにその後、12月にFENAの試験もあります。これはFENAに所属する学校の生徒が全員一斉に受けるものです。

FENAの試験内容自体は決して難しいものではないのですが、私はフランス語を読むのが遅いため、時間切れで7割くらいしか回答できませんでした。「これは落ちた!」とガッカリしていたのですが、FENAの試験も何とか合格、結果的には進級試験も卒業試験もすべて1回で通ったことには、自分が一番驚きましたし、我ながらがんばったなと思っています!

最後に卒業論文ですが、テーマが決まった時点で校長先生に相談し、OKが出れば、在学中でも執筆を始めて構いません。私は在学中にはとても卒論をやる余裕がなかったので、すべての試験が終わってから、6か月後に提出して卒業証書をもらいました。内容は貝原益軒の『養生訓』を中心に、日本の統合療法の現状についてまとめました。日本でのリサーチをずいぶんしましたが、帯津良一先生にもお目にかかれましたし、フランス語で書くのは大変でしたが、卒論を書くのはとても楽しかったです。

というわけで、結局のところ、卒業試験とFENAの試験に合格し、卒論まで出して卒業証書をもらった人は、私のクラスでは10人くらいだと思います。入学時には50人いたので、最後まで行く人はそれほど多くなかったです。卒業しなかった人は、さまざまな理由で途中で学校を辞めてしまったり、卒業試験の再試験を受けていなかったり、卒論を出していないなど、いろいろです。ただ、平日コースの場合は、一気に集中してやること、年齢が若いということもあるのか、卒業する人の割合はもっと高いようです。