フランスで自然療法を学ぶには 2
-学校選び-

フランスの自然療法に興味を持ったものの、フランス語の壁が厚そうなことにひるんだ私。日本語で似たようなことを学べないものかと、日本でフランスの自然療法学校のようなところがないかずいぶん探しました。でも該当する学校を見つけることはできませんでした。

そこで再度フランスで学ぶことは可能かを模索し始めました。自然療法の学校に通っていたフランス人の友人の話によると、彼女の行っている学校は悪くないけれど、FENAHMAN(Fédération Française des Ecoles de Naturopathie、2017年略称をFENAに変更)という自然療法学校組合に所属している学校のほうが、時間も費用も、そしてもちろん勉強内容も大変だけれど、どうせ学ぶならそちらで学んだほうがいいと言われました。

そこでパリにあるFENA所属校限定で学校調べを開始。パリには以下の3校があることがわかりました。

なお、FENA所属ですと、どこに行っても授業時間は約1,200時間、授業料は約11,000ユーロとなります(学習時間、費用ともに、実際はもっとかかりますが)。授業内容は学校によって細かな違いはあるものの、大まかな内容は大体一緒となるようです。

サイトで大体の情報を得ることはできましたが、やはり学校の雰囲気を見てみないとわからないと思い、一般開放日に3校すべてを見に行きました。

以下、母校寄りの、独断と偏見がかなり入っていることを踏まえてお読みください。

EURONATURE

パリ校の場合、平日に毎日通う1年コースしかなかったので、私には無理だと思いました。さらに学校の説明を聞いていても、ピンと来るものがまったくありませんでした。

ISUPNAT

学校の説明をした校長先生が、職業としてどう資格を生かすかということをあまりに強調していたことが気になりました。また、念のためにISUPNATから「経験豊富な」と紹介された自然療法士に会いに行ったのですが、そのカウンセリングの内容は私の期待していたものではありませんでした。

CENATHO

最後に行ったのがCENATHOです。校長先生のダニエル・キーファー氏の話が一つひとつ腑に落ちる感じがありました。

特に「人を癒すためには、精神(トップ)から行く方法と、体(ダウン)から行く二方向があり、自然療法ではホリスティックな視点を持ちながら、主にダウンからアプローチしていくので、トップより時間はかかるかもしれないが、誰にも受け入れられやすい」という話に心から納得しました。

この時点でCENATHOに強く引かれていたのですが、気になるのはやはり私のフランス語力。そこで学校に連絡を取り、校長先生と個人面談をしたいと申し込んだところ快諾。すぐにキーファー氏と面談をすることになったのですが、言われたことは

「入学時に一般的なフランス語の能力診断テストの提出は必要ありません。自然療法で必要な語彙は、フランス人でも知らない言葉が多いですから。それでもあなたは外国人ですから、フランス人以上の努力は必要でしょう。私から入学したほうがいい・悪いという意見はありません。それはすべてあなたのやる気次第です」

という、当たり前のことでした。

この後、私はさらに夏の講習会に、クライアント役として1週間参加し、在校生ともいろいろ話した上で、晴れてCENATHOに登録。2011年秋のことでした。私は週末コースだったので、4年間CENATHOに通うこととなりました。

他の学校のことはよくわからないのですが、CENATHOにも不満なところはもちろんありましたが、CENATHOに行ってよかったと今でも思っていますし、フランスで自然療法を学びたい方にはCENATHOを心からお勧めします。

フランスで自然療法を学ぶには 3
-学習内容①-

校長先生には「フランス語力を問わない」と言われたものの、実際のところ、フランスの自然療法の学校に通うためにはどれくらいのフランス語力があればいいのでしょうか? 私がフランス語の検定試験を受けたのはずいぶん昔のことなので、入学当時の語学力がどの程度だったのか、正確にはわかりません。でも理想としてはフランス語で授業を聞いてノートを取ってまとめられるくらい、ということになります。

でも私はフランス語がいまでもそれほど得意ではありません。特に先生がスライドを用意していなかった場合は、話を聞きながらノートをとるのはほぼ不可能だったので、授業中に許可を取って録音した音声からノートを作っていました。つまりほとんどの授業を最低でも2回は聞いていたことになります。

授業時間は朝の9時から18時までです。途中少しの休憩とお昼の時間はありますが、1日7時間くらいの授業です。週末の2日間が終わると毎回グッタリでした。

私は16か月の集中コースではとても授業についていけないと最初から思っていたので、4年間の週末コースを選択。ただ、週末コースといっても毎週あるわけではなくて、2~3週間に1回くらいのペースです。

なお、集中コースですと授業は週に3日となり、のちに増設された週に2日コースだと、2年間で卒業できます。また、私の通っていた4年コースは今はなくなり、その代わりに3年コースになりました。どのコースでも授業時間はFENA規定の1,200時間なので、自分に合ったコースを選べばよいと思います。

ただ、授業時間は1,200時間ですが、予習・復習、定期試験の準備、卒論の執筆などがありますから、フランス人でも総学習時間は4,500時間とのこと。私の場合、平日と学校のない週末のほとんどは、授業の予習・復習、その他の準備に追われていましたから、私は一体何時間勉強したのでしょうか!?

学習時間の目安(CENATHOのパンフレットより)始まる前は「4年間って長いなぁ」と思っていましたが、終わってしまえばあっという間、今の3年間コースでも私には厳しかったかもしれません。これは私のフランス語力に加えて、私の性格、よく言えば丁寧、悪く言えば要領が悪いのですが、一つひとつ納得しないと進めないタイプだからだと思います。

でも4年間あったからこそ、学校で勉強しながら興味を持ったことへの勉強会に別途参加したり、学んだをことを確認するために友人・知人に実験台になってもらう時間も十分取れたりしたので、私には4年間で本当によかったと思っています。